ソムリエが選んだワインが気に入らなければ交換も
「飲みたいワインをお飲み下さい料理に合わす必要はありません」
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◆飲みたいタイプだけ伝え ソムリエに任せるのも一法
海外、とりわけフランスやイタリアといえばワインの本場。日本ではあまりお目にかかれない銘柄やヴィンテージとの出合いもありそうだ。とはいえ、気安いビストロやトラットリアならともかく、星付きのレストランでワインをオーダーするのは相当、難易度が高いのではなかろうか--。
「お気軽に、その時、飲みたいワインをお飲みいただくのが一番です。注文なさった料理に合っていなくても別に気にしません。当店にはワインを愉しみに見えるお客様も多いので」(アラン・デユカス・オ・プラザ・アテネ/パリ)。予想に反して高級店の多くが、こんな〝エール"を送ってくれた。 中級以上のレストランのソムリエなら、ほぼ英語を話すと考えていいだろう。ワイン選びに自信がなければ、リストと格関する前に、まず白か赤か、自なら辛口か甘口か、赤ならライトボディかミディアムボディかフルボディか、飲みたいタイプだけ伝えて、後はソムリエに下駄を預けてしまう手もある。
お任せの場合、気になるのは出されるワインの値段だが、初めての客に薦めるワインの価格帯を尋ねたら、三ツ星レストランでも日本円に換算して「1万~2万円」程度。「あまりご興味がなさそうな方にはもう少しリーズナブルなものを、逆にワイン通とお見受けすれば、多少値は張ってもいいものをお持ちします」(アラン・デュユカス)
それでもやはり、あらかじめ予算を提示しておくのが安心、という向きは「ワインリストの値段の部分をそっと指差してください」(ダニエル/NY)。「予約時にお知らせくだされば、必ずソムリエに伝えます」(ル・グランヴエフール/パリ)。
要注意はティスティングだ。日本のダランメゾンだとティスティングはあくまで品質確認の儀式、コルク臭などがない限りワインの交換はほぼあり得ない。時にはソムリエに一任することも許される。しかし、海外の高級レストランでソムリエにワインを選ばせた場合は、別の意味合いが生じることがある。「お客様がティスティングなさって『期待していた味と違えという時は、無料で別のワインにお取り替えします」(ル・グランヴエフール)。実際にそうなるケースは稀だというが、「だからこそ、面倒でもソムリエに委ねるのでなく、必ずご自分の舌でワインの味を確かめていただきたいのです」(レ・アンバサドール/パリ)。
※ワインの後には、アルマニャック、グラッパなど食後酒を愉しむ手も。
◆最後までシャンパンで過すのは〝特別なお祝い″の日だけに
日本のレストランでは、食前酒のシャンパンで最後まで通す人をよく見かける。決してマナー違反ではないが、本場のソムリエからはこんな声も開かれた。「〝特別な日"のお祝いというなら分かりますが、やはり、フレンチにはワインを合わせるのがスマートに見えます」(レ・アンバサドール)。