客室係へのチップを上手に渡す
「枕の下にチップを置く日本の習慣、とても素敵だと思います」
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◆「枕の下にチップ」は非常識?メモを添えると係りを困らせない。
海外でもっとも頭を悩ませるのは「チップ」だ。金額、渡し方、タイミング……。習慣のない日本人にとって、避けては通れない難問揃いである。
まずは、客室係へのチップである「枕銭」。「最近は置かないお客さまが増えています」(ザ・コノート/ロンドン)という声が目立ち始めたが、まだ大多数を占めるほどではないようだ。
問題は置き場所である。「枕の下」という、日本でかつて広まった常識は、意外にもヨーロッパでは「とてもいい習慣だと思います」(ホテル・ド・クリヨン/パリ)と、奥ゆかしい表現法に好意的。ただ、「枕の下ではまざらわしいので、枕の上、もしくはベッドサイドかデスクの上に」(チェンバーズ/NY)という意見が多いのも事実。どうしてもという場合でなければ、分かりやすい場所に置くほうが無難だ。
ただ置いただけでは「いただいていいお金かどうか迷う時があります」(フォーシーズンズホテルジョルジュサンタ/パリ)。せっかくのチップをきちんと受け取ってもらうためにも、置き場所を問わず、「「Thank You」などと書いたメモを、チップと一緒に残していただけると助かる」そうである。
※パリの5ツ星高級ホテルでは1泊1部屋5ユーロ以上が相場
次に気になるのは金額。ニューヨークでは「一般的に1部屋当たり、1日3~5ドル」(チェンバーズ)、パリ、ローマでは2~5ユーロ、ロンドンでは2~5ポンド程度が相場である。ただし、五ツ星クラスでは「7~10ユーロ」(フォーシーズンズジョルジュⅤ)というホテルもあり、高めの印象。超高級ホテルでは、5ポンド札以上で置く、と考えておいたほうがいい。
◆長期滞在なら最終日にまとめて客室係宛てでフロントに渡す
同じホテルに長期滞在する場合、毎朝部屋を出る前に、チップとメモを枕元に置いていく上。実際にやろうとすると、何日かは忘れてしまいそうだし、けっこう煩わしいものである。
ホテル側としては、「毎日でも、滞在最終日にまとめて置いても、どちらでもいい」というのが大多数の意見。「客室に備え付けの封筒に滞在期間中のチップをまとめて入れ、表に客室係の個人名か、「Dear Housekeeper」と書いて、帰り際にフロントに渡される方もいらっしゃいます」(フォーシーズンズホテルニューヨーク)。楽であるうえに、「スマートな方法だと思います」(クリヨン)と好評だ。
海外では基本的に形よりも中身を重視する傾向が強いが、日本人らしい演出が、時には効果を発揮することもある。「以前、和柄の美しい封筒(ポチ袋)に入れて下さったお客様がいらっしゃいました。それをいただいたスタッフは記念として大切に封筒を取っていたようです」(ジ・オペロイ・バリ)。
※チェックアウト時、滞在中のチップをまとめてフロントに出すといい。
※五ツ星ホテルでの枕銭は、5ユーロ札以上、5ポンド以上がふさわしい。
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