ドアマン、ベルへのチップも堂々と
「パリの五ツ星ホテルでは、"チップは札"とお考えください」
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◆アメリカでは2~3ドルが目安 パリの高級店では5ユーロを
枕銭ならゆっくりと準備することができる。だが、ホテルのドアマンやベルにチップを渡す時、さすがに悠長に構えてはいられない。チャンスはほんの数秒間。緊張を強いられる場面ではあるが、多少のコツを知っているだけで、動作は流れるように自然になる。
まずは、渡すべき額。決まったルールはないが、もちろん相場はある。
アメリカでは「ドアマンが車のトランクから荷物を下ろしたり、タクシーを呼んだりした場合は1ドル。ベルへは荷物1つあたり2~3ドル」(チェンバーズ/NY)が妥当。イギリスも同レベル、ローマでも「荷物1個2ユーロくらい」 (イタリア在住ジャーナリスト)だ。ホテルやレストランのクロークを利用した時は、「荷物を受け取る帰り際、2ドルをお渡しになるお客様が多い」(ダニエル/NY)。一方、パリの五ツ星ホテルでは、少々高め。「チップは札(5ユーロ)から始まると思っていただいたほうがいい」(ル・ブリストル日本人スタッフ)。レストランでも、「タクシーを呼ばせた場合は5~10ユーロくらい」(ピエール・ガニエール/パリ)が相場だ。
渡し方にもコツがある。「基本的には男性が渡すこと」(フリーのツアーコンダクター)。財布からではなく、ポケットからさりげなく出す。札ならちいさく折り畳み、「Thank You」などと必ずひと言添えて「握手をするような形で渡すと自然です」(ザ・コノート/ロンドン)。また、小銭がなくて焦らないで
済むように、1ドル札や5ポンド札、5ユーロ札はもちろんのこと、現地でしか手に入らない2ユーロ硬貨も、空港で多めに両替しておくと安心だ。
◆アメリカではどんな店でも必須 ヨーロッパでは臨機応変に
高級店ならいざ知らず、庶民的なレストランなどでもチップは必要なのか。
従業員にとってチップが生活の糧の一部となっているアメリカでは、特に問題がなければ、渡すのが必須と想定しておいたほうがいい。「渡すまできちんと待っていたり、少ないと文句をいわれたりする場合があります」(ホテル代理店関係者)。イギリスでもチップの習慣は根強く浸透している。
対してフランスやイタリアでは「通貨がユーロになって以来、払わないケースが増えています」(イタリア在住ジャーナリスト)。逆に、「当たり前のことをしてもらってチップを渡すと、妙に思われることもある」(フォーシーズンズホテルジョルジュサンクの日本人ディレクター/パリ)。サービス料を請求する店なら、ドアマンなどへのチップもそこに含まれていると考えていい。本当に助かった、よくしてもらったと感じた時だけで十分だ。
ただし、高級レストランや高級ホテルでは話は別。特にパリの星付き高級店ではアメリカ同様「チップは常識」と考えられているので、ご注意を。
※ルームサービスへのチップも国それぞれ。アメリカ不要、欧州では必要。
※事前に札を小さく折って、ポケットに準備。財布から出すのは避ける。